A certain day of June

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「先輩。就活のほうはどうなんですか?」 「おぉ、よくぞ聞いてくれました! 実は昨日、ついに内定がもらえたんだよ!」 「え、マジですかっ? おめでとうございます!」 「うん。ありがとう」 「じゃあ、就職先ってどこになるんですか?」 「札幌の銀行。来年から実家暮らしの予定」 「北海道ですか……。じゃあ、もうほとんど京都には戻ってこられないですね」 「そうなるだろうね。あ、そういえば、あたしがUターン希望だって言ってなかったっけ?」 「いえ、聞いてましたよ。でもまあ、寂しくなりますね……。 そうだ、留年とかしてみる気ないですか?」 「あははっ。そう言ってくれるのは嬉しいけど、それは言わない約束でしょ」 「そうですけど、それでも、あと一年あればとか思っちゃうんですよね」 「まあ、それも青春だと思うよ。去年のあたしもそうだったしね」 「そうですか?」 「うん。まあ、明日卒業ってわけじゃないんだし。そんなにしょげんなよ、後輩」 「……そうですよね」 「よし。今日はみんなであたしの内定祝いやるから、遅れんなよ!」  ──六月某日。  この時の僕は、先輩の卒業なんて、まだずっと未来のことなんだと思っていた。
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