哀しき恋の歌

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なんでだろう…フラれたのに涙が出ない。哀しくないわけじゃないんだ。距離が生まれてもうダメなんじゃって思ってもやっぱり好きだった。 未来の笑顔やちょっとした仕草、怒った顔、拗ねたとき膨らませる頬。 その全てが愛しかった。 そう思うと疑問が生まれる。 本当に好きだったんならどうして別れを告げられた時引き止めなかったのか。どうして別れたくないと一言言わなかったのかと。 もしかしたら本当はそんなに好きじゃなかったのかも知れない。だから引き止めもせず素直に別れを受け入れたんじゃないのか。 もしそうなら俺は… 「最低だな…」 自嘲気味に呟いた言霊は誰もいない暗い静かな公園に吸い込まれた。 「…帰るか」 いくら考えても答えが出ない俺はブランコから立ち上がった。 すると一つの影が見えた。 女の子だと思う。髪の長い小さな女の子…その子はゆっくりとブランコから少し離れたベンチに腰かけた。 多分向こうは俺に気づいてない。ベンチからブランコは丁度山型の滑り台に視界を遮られるから。
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