終わりと始まり

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『この世界はつまらない』  こんな事を何気なく考えてしまう僕は、偏屈なのだろうか。  望んでもいないのに、淡々と進んでゆく時間。  学生という職業上、毎日が繰り返されているような感覚。  その流れに逆らうことが出来ずにいる自分。  まるで漂流かするように、一日あるいは一週間、人の決めた時間の定義を漠然と消化していく自分。  嫌になる。  こんなにも世界には色というものが無いのだろうか。  もちろんこんな僕にだって色の認識はある。  例えば信号。  赤・青・黄。  一般的には青なんて呼ばれているが、僕には緑に見えなくもない。  こういった具合に、僕の視覚やら脳やらは健康である。  つまり僕が言いたいのは『世界はどうしてこうもつまらなく写るのか』と言うことである。  僕は思う。  僕が今見ているこの風景は他の人にはどう見えるのか。  楽しいこと、嬉しいこと、悲しいこと、むしゃくしゃすること……この場にいる人にはそれぞれ理由があって各々の感情を抱きながら、この場に居たのだろう。  そんな人たちには、今のこの景色はどう写っているのだろうか。 『少女を助けた勇敢な青年』 『自分の命を投げ出したお人好し』  そんな所だろうか。  取りあえず結果だけ言うと、僕は…… 『事故にあった』
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