76人が本棚に入れています
本棚に追加
転入生の出現で怒涛の1日となったが、無事に迎えた放課後。
イリヤは未だにクラスメートに囲まれ、質問責めの状況だった。
まぁ、俺にはまったく関係ないので、普通に帰らせてもらうが…。
と、イリヤに憐れみの視線を送り、扉に手をかけた瞬間。
――サーヴァントはもう呼び出した?
頭の中で声がした。
鼓膜ではなく、まるで頭に直線話しかけられたような感覚は間違いない…。
「――魔術、か…」
――正解♪流石は衛宮の一族だね。
――知ってるのか?
――うん。私はアインツベルンの者だもん。シロウのこともリンのことも知ってるよ?
その言葉でようやく思い出した。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン…その名前を。
ドイツの黒き森の中に城を構える魔術師家系の貴族、アインツベルン。
連中には関わるな…それが祖母さんからの言葉だった。
まぁ、その理由までは聞いてないけど…。
――とりあえず、今日エミヤの家に行くから。
――なんでさ?
――シロウやリンに会いたいから♪
――祖母さんは会いたくないみたいだけどな…。
――ふふっ♪リンらしいわね。
その言葉を最後に声は途絶えた。
どうやら祖母さん達とは古い付き合いらしいが……あいつ今何歳なんだ?
なんて考えながら、今度こそ教室から出たのだった…。
…………。
……。
…。
「………なんですって?」
「いや、だからイリヤスフィールってやつが今日うちに来るってさ」
「イリヤスフィールが…!?彼女は生きていたのですか…」
と帰宅後、事のあらましを祖母さん達に説明したのだが…。
なんだか、話さない方が良かったらしい。
その証拠に、祖母さんの額には青筋が浮かび上がり、湯飲みを持つ手も震えている。………怒りで。
うん、なんか知らんが怒ってるっぽいな。
「あんたはッ!アインツベルンには関わるなって言ってあったでしょ!?」
「仕方ないだろ?転入生なんだし。だいたい関わるなっていう理由も教わってないぞ俺」
凄い剣幕でまくし立ててきた祖母さんを宥めながら、急須からお茶を注いだ。
最初のコメントを投稿しよう!