76人が本棚に入れています
本棚に追加
第二章~召喚~
道場に響く打ち合いの音。
セイバーが特訓する、なんて言い出してから、既に1時間が過ぎようとしていた…。
セイバー「はぁぁぁッ!!」
打ち込んでくるセイバーは、まるで瀑布の如き連撃で俺に攻め込んでくる。
上下左右…。
もはや同時に打ち込まれたとしか思えないような剣戟が俺に迫る――!
色「ちっ!」
いなし、流し、防ぎ、避け…全力で飛び退き、距離を離した。
だが、逃がさぬとばかりに、同じく全力で踏み込んでくるセイバー…。
色「くそっ…!」
逃げられない。
そう判断し、真っ向からセイバーを迎え撃つ…!
左から右へ…。自身の渾身の一撃をセイバーの首筋目掛けて放った。
だが、防がれる。
まるで化け物だ。渾身の一撃を踏みとどまりもせずに軽々と弾いたのだ。
飛んでくる刺突を、弾かれた反動で避け、右足を軸にして駒のように一回転する。
右から左へ振り抜く…。
セイバーは未だに竹刀を戻しきっていない。ならば、俺の一撃は彼女の胴を薙ぎ払うだろう。
だが、そんな考えは…。
――バシィィンッ!
後頭部に走った激痛により、意識と共にどこかへ飛んで行ったのだった…。
…………。
……。
士郎「なんというか……容赦がないな」
凛「ま、あれで宝具持ったら全力勝負になってるんでしょうね」
士郎「止めてやれよ…」
凛「いいんじゃない?セイバー、久しぶりに活き活きしてるし」
凛の言葉に、まぁなぁ…と生返事を返す士郎だが……少し気になるところがあった。
セイバーのあの動き。
たしかにあれは全力勝負と同じ動きだった。
だが、何かがおかしい。
……焦ってるのか?
そりゃあ息子同然の色が、魔術師同士の殺し合いに参加すれば、焦るのは分かる。
心中穏やかではいられないだろう。
士郎「うわ………あれ鳩尾に入ったぞ」
凛「というか、それでも立ってる色が異常よね」
士郎「意識は飛びかけてるみたいだけどなぁ」
特訓と言う名の地獄は、まだまだ続きそうだった…。
最初のコメントを投稿しよう!