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色「――まだ……やれる…!」
立ち上がる。
限界に達した体は、それだけで意識を失いかねないほどの痛みを訴えてくる。
――関係ない。
ただ、幸いなのは既に精神の感覚は麻痺しているらしい。
――なら戦える。
立ち上がり、自らの身体状況の確認を行う。
左肩の骨折…いや、脱臼および右手親指の骨折。魔力回路並びに魔力は未だ健在。体力的には既に限界を越えており、脳は足りなさすぎる酸素を求めて運動停止を命じてくる。
セイバー「無駄です。その体では戦えない」
…そんな事は誰に言われるでもなく承知している。
それでも、俺は……消えかけているデュランダルを構えた。
例え体は負けても、その精神だけは負けることのないようにと…。
セイバー「……いいでしょう」
呟き、構え直すセイバー。
恐らく、一瞬でも気を抜けば、俺の体は半分に両断されるだろう。
………体が震えた。
数秒後の自分。
エクスカリバーに切断された自分が明確に予測出来るためだ。
おそらく、これが本当に最後の一手になる。
セイバーとの距離は10数メートル。セイバーならば2秒で詰め寄るだろう。
故に、この勝負はその2秒で決する。
だがそんな事は頭にはない。あるのはただ…。
セイバー「行きます…!」
地を駆けるセイバー。
それに応えて、俺も強く踏ん張った…!
1秒…。
駆け抜けてくるは流星。
人間では打ち倒すことはおろか、受け止めることも許されないだろう。
……負ける。
風を切り、振り上げられた聖剣。
振り落とされる刹那…。
―――ッ!?
何かが見えた。
それが正しいのかは分からない。
だが、その是非を確かめる事はせずに…。
色「おぉぉぉぉッ!!」
駆けた。
セイバーの聖剣、その先に見えた物を目指し、一切の恐怖をかなぐり捨てて………全力で勝利へと踏み出す…!
聖剣は俺の左肩を掠り、地面へと吸い込まれる。
その位置こそが唯一許された回避方法だったのだ。
だが、まだ終わっていない。セイバーの脇を抜け、背後を取りはしたが……踏みとどまれずに、たたらを踏む。
セイバー「はっ!!」
色「ッ!」
振り向き様に放たれた一撃をデュランダルで受け止めるも……やはり吹き飛ばされた。
景色が流れていき…。
蔵に続く扉を破り、壁に叩きつけられた。
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