君に送る気持ち

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初めて君と逢った時、自分でも驚く位動揺した。 はっきり言って、一目惚れだった。 遊びで抱かせてくれる、軽い女だと思っていたから、仕事着のままの自分を見られて、失敗したと思った。 彼女は、遊び慣れた女なんかじゃない。 傷ついて、ヤケになってこんな誘いに乗ってしまっただけ。 体を見せることに恥じらい、不安げに揺れ動いた瞳は反則だった。 そのくせ、俺の頼みは断らない。 今までの男にもそうだったなら、彼女が傷ついた理由もわかる気がする。 純真すぎる君。 優しすぎる君。 美しい外見と心を見せつけられた男は、君を壊してしまいたくなる衝動に駆られるだろう。 体を繋いだ後、過去の恋を語った君を、少しでも癒したくて、何度も抱きしめてキスをした。 その度に、幸せそうに微笑む君。 どうして、こんな風に出会ってしまったのか、悔いても戻れない。 せめて、今だけは、俺の腕の中で笑っていて欲しい。 抱きしめる度、より体を俺に寄せる君。 長い髪が胸を撫で、愛おしさが込み上げて来る。 白い肌に唇を当て、きつく吸い上げれば、赤い花びらが散った様に見えた。 自分の物だと印しを刻む様に何度も。 今まで、傷つけられて来た君は、それでも奇跡の様に美しい。 自分を恥じたり、憐れむ必要なんかない。 そのままで、素直に気持ちをぶつければ良い。 そうすれば、きっと次の恋は上手くいくよ。 何故、その相手が自分じゃないのか、悔しいけど。 もし、違った出会いをしていたら、その相手になれただろうか。 考えても仕方ない。 今はただ、君の幸せを祈ろう。 悲しまなくて良い。 我慢しなくて良い。 そのままの君が、一番魅力的だよ。
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