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視界を覆う光が収まる頃、子供は一人森の中に佇んでいた。
少年はどのくらい泣き叫んだのだろうか、声にならない叫び声をあげながらその場に倒れ込む。
「こっちの方から泣き声が聞こえたんだけど……」
そう言って森の中を歩く女性がいた。
その女性は少し丸みがかった愛嬌がある顔で、赤みがかった黒い髪を首の付け根辺りで揃えていて、前髪はセンターで分けて邪魔にならないように両サイドに流してピンで留めている。
デニム生地のパンツに、上は首まで覆う白いジャケットを羽織って、背中には大きな籠を背負っていた。
その女性が声が聞こえた場所を頼りに探していると、倒れている子供を発見し、すぐ駆け寄った。
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