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夕日が俺達を照らす。俺とナツキは、いつもながら二人して帰っていた。
俺は毎日毎日、思っていることがあった。ナツキは俺の幼なじみであり、そして想い人。
「あっ、あのさナツキ……」
「んっ。なに?」
告白である。今日も口を開き、意を決して発しようとした。
「つ……月が綺麗だな」
「一応月出てるけどさ、綺麗かな……夕日のほうが綺麗だけど」
ナツキは微笑した。
そう、何時もこんな状態で俺の告白は終わる。
「はぁ~」
「あれ?ため息するなんて珍しい。幸せが逃げるよ」
「うるせー。だったら俺に幸せ贈りやがれ」
そう冗談で言ってみた。すると手に冷たい感触を覚えた。
「おい。なんだこの手は?」
「幸せを手から注入してます」
「なんだそりゃ」
軽くあしらいながらも、ナツキの手をぎゅっとにぎりしめ、足を進めさせる。
「おっきいね。やっぱり」
「何が?」
「手だよ。私のと全然違うなぁ」
「当たり前だろ」
ふりかえって、ナツキをみた。気のせいか、ナツキの頬が紅い気がする。ただの夕日かな。
ああ、何時になったら俺の想いが通じるのか。
夕日に照らされながら帰り道を二人で歩いた。
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