例えばそれが、

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「……別にそんなに苦手なわけじゃねぇよ」 「ふははっまたまた」 リビングのソファーに向かい合うように座ると、目の前にはコーヒーの入ったカップが二つ用意されていた。 視線だけでどうぞ、と言われているのを確認するとそれに口をつけた。 が、そのあとのそんな会話に、再び月野息子は眉をさらに顰める。 「でもまぁ……」 しかし次にそう言った父親はコトリとテーブルにカップを置いて息子へと視線を移した。 それは先ほどまでとは違って、からかいの色を含まない瞳。 「よかったな、会えて。 懐かしいな……和也があの日会った子、なんだろう?」 「……何、覚えてんの?」 続けざまに発せられたその言葉には目を少し見開いた。
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