第一話

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「ご、ごめんなさい!!!」 「お前…」 驚いた表情を浮かべて私を見上げる男子生徒。 「あの、大丈夫ですか?」 「…あぁ…お前のせいでケツ痛てぇわ」 「ご…ごめんなさい…」 「で、誰がお化けなんだよ。」 「え!いや…その…人が居ると思わなくて…」 「へー…お前、馬鹿?」 「なっ…!」 男子生徒はよいしょ、と言って立ち上がった。パタパタと制服の埃を掃っている。 (何コイツー!!!謝ったのにっ!綺麗な顔してムカつくー!!) 男子生徒は向き直って、つま先から頭のてっぺんまで私をまじまじと見た。 (うわぁ、背高い…ここの制服だ…ここの生徒なんだ…) 「で?“ありす”はここで何してるわけ?この学校の生徒でもないのに」 「わたし、ここに編入してきたの…」 「ふーん…」 「あれ…?私の名前!何で!?」 「…」 今、私を“ありす”と呼んだ。初対面の人が何故私の名前を知っているのか? 私は不審な目で男子生徒を見つめる。 男子生徒は不機嫌そうな顔をして黙ってしまった。 「…俺は、高山空。…学級会長だから…このクラスの」 「会長…?」 (あぁ、会長だから先生に名前聞いてたのか。てか、会長って…見えないんですけど!どう見ても問題児…) 「なんだよ…文句あんの?」 「いいえ!」 「まぁ、いい。明日な…須藤ありす…」 「あっ…。さようなら。」 高山は教室を出た。しばらくして私も教室を出て応接室に戻った。 不思議と、不気味だった廊下は怖くなくなっていた。
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