一日目<残り六日>

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サトル 「さてと……ん?なんだあれ?」 俺が行こうとした道の端に、なんかが動いていた。 よく見ると、人が何かの入れ物に上半身を突っ込んだまま身動きが取れなくなっているようだ。 サトル 「ケツ?」 ケツ 「はぁ…俺こんな所で死ぬのかぁ……」 サトル 「あ…あのー…」 ケツ 「うぅぉお!人間か!?」  サトル 「えぇ…まぁ人間です…」  ケツ 「頼む!後ろから引っ張ってくれ!腰がはまって動けなくなっちまったんだ!」  サトル 「はぁ、わかりました」 ケツ 「すまん!助かる!」 サトル 「じゃあ引っ張りますよー……せーの!」 ぐいぐい ケツ 「いでででで!もうちょい優しいくいででで!」 サトル 「少し…我慢していて……くだ…さい!」 ぐいぐいぐいぐい! ケツ 「ア゛ァァァア!」 ズポ! サトル 「おぅわ!!」 ケツ 「なぉお~!」 どさ… サトル 「ててて……」 ケツ 「あててて…おう!助かったぜ!」 ケツが手を差し伸べて俺を起こしてくれた。 ケツ改めジュン 「俺、ジュンイチってんだ。ジュンで構わねぇ。お前は?」 サトル 「俺はサトル。あんた、あんな所で何してたんだ?」  ジュン 「俺?俺はちっと探し物を。そんな事より、お前なんでまだ地球にいんの?」 サトル 「いやいや、それはお互い様だろ…。ま、俺はただ奴等のやり方が気に入らなかったから残っただけだよ…」 ジュン 「奴等?国務機関の連中か?」 サトル 「そんな所だね…」 ジュン 「なんだよ。なら俺と同じじゃねぇか!」 サトル 「へ~。じゃあジュンも相当な馬鹿野郎だな」 ジュン 「んだと~!お前も人の事言えねぇだろう!」 サトル 「あははは!そうだな!」 ジュン 「ははは!…はぁ」 サトル 「ん?どうした?」 ジュン 「いや。こうして人と話して笑いあったのが久しぶりだ…って思ってな…」 サトル 「俺も。と言うか、人に会うこと自体久しぶりだ…」  ジュン 「本当にみんないなくなっちまったんだな…」 サトル 「あぁ…みんなは地球を捨てた。俺は最期まで地球を捨てない…」 そうだ…俺はあんな奴等と同じようにはならない。 たとえ滅びが来ようと、最期まで地球と一緒だ。
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