四日目<残り三日>

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ジュン 「オッサン、聞いていい?」 テツヤ 「ん~?なにかなジュン君」 ジュン 「形見って何?」 テツヤ 「ジュン君、形見も知らないのかい?形見ってのはだね──」 ジュン 「いやいや、オッサンの探している形見ってどんなのかって聞いたんだよ」 テツヤ 「あー…なるほど。俺の探してる形見は、人だ」 ジュン 「ひ…人!?」 テツヤ 「それも死人」 ジュン 「ちょ…マジかよ…」 テツヤ 「うんにゃ。嘘」 ジュン 「……だと思ったぜ」 テツヤ 「あらあら~?おもいっきりビビってましたって、顔に書いてあるわよん」 ジュン 「う…うっせ!…んで?本当はなんなんだよ」 テツヤ 「さぁ?」 ジュン 「さぁって…」 テツヤ 「とりあえずあいつの身に付けてたであろう物さえ拾えればそれでいいんだよ」  ジュン 「そんな適当でいいのか…」 テツヤ 「いんでね?」 ジュン 「…………」 テツヤ 「いやいや!さすがに俺でも、パンツは持って行かないわよ!」 ジュン 「誰もそんな事聞いてねぇって!」 サトル 「で?オッサンの家ってあとどれくらいで着くんだ?」 テツヤ 「あとちょっとあとちょっと。あの角曲がった所さね」 オッサンが指さしたに先崩れた家がたくさんあった。どうやら住宅街のようだ。 テツヤ 「本当にくるんかい?もう病院は目と鼻の先よ?」 ジュン 「んま、ついでだからな」 リョウコ 「サトル…」 サトル 「ん?どうした?」 リョウコ 「私…ちょっと疲れちゃった…」 ジュン 「疲れたって、今日はまだたいして歩いてないぜ?」  テツヤ 「まぁまぁ、リョウコちゃんはジュン君と違って繊細なんだよ。サトル、リョウコちゃん少し休ませてやれ」 サトル 「あ…あぁ。リョウコ大丈夫か?」 リョウコ 「うん…大丈夫。まだ動けるよ」 サトル 「あんまり無理するなよ?」 リョウコ 「はーい…」 サトル 「まぁとりあえず少し休ませてもらおうぜ」 リョウコ 「まだ平気だって!」 サトル 「俺が疲れた!」 リョウコ 「…………」 サトル 「って事でオッサン、少し休んでから行くわ」 テツヤ 「りょ~かい。十分に休んで…もとい、イチャイチャしてからくるがいい」 ジュン 「いや、それ逆だろ普通。じゃ先行ってるぜ」 サトル 「あぁ。気を付けてな」 俺とリョウコは近くにあった瓦礫に腰を下ろし、オッサンとジュンが住宅街へと消えて行くのを見送った。
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