六日目<残り一日>

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真っ暗な病院の中、1つのランプと1本の懐中電灯を手に、俺はリョウコの寝ているベッドの横に立っている… リョウコ 「ごほっごほっ…はぁ……はぁ…」 サトル 「大丈夫か?」 リョウコ 「…ジュンの妹さん見つかったかな…」 サトル 「ジュンの事だ。きっと見つけてるさ」 リョウコ 「そうかな…」 オッサンの奥さんやネムルさんの兄貴の事を考えると、どうもやりきれない… 俺は軽い気持ちで付き合って来た訳だが、ジュンはすでに気付いてたんだろうな… リョウコ 「…サトル?」 サトル 「うん…大丈夫だよ…。ジュンはその為にここまで来たんだ」 リョウコ 「そうだね…」 サトル 「リョウコは早く身体を治すことに集中して、今はゆっくり休んでな?」 リョウコ 「…駄目……」 サトル 「リョウコ?」 リョウコ 「駄目…だよ…今眠ったら二度とサトルに会えない気がして……それが怖いの!」 そう言うとリョウコは大粒の涙を流し リョウコ 「駄目…駄目!…ごほっごほっ…はぁ…駄目…」 サトル 「大丈夫…俺はどこにも行かない…ずっとリョウコと一緒だ…」 リョウコ 「サトルゥゥゥ…」 サトル 「大丈夫…大丈夫だから…」 俺は上半身を起こしているリョウコを抱き締め、頭を撫でてやった サトル 「だから今はゆっくり休んでくれ…」 リョウコ 「…分かった……グスッ…」 サトル 「うん。えらいえらい」 そう言ってもう一度頭を撫でてやる。 リョウコ 「…手…握ってて…」 サトル 「あぁ」 リョウコ 「えへへ…ありがと…」 俺の手を握ったリョウコは安心し、ゆっくりと眠りについた。 サトル 「ふぅ…早く良くなれよ」 残り一日……その残りのタイムリミットまで俺はリョウコと旅を続ける事を選んだ。 残りの一日がどれほど残されているのかはわからないが、最後まで精一杯生きると…
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