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ジュン
「リョウコちゃん寝たのか?」
サトル
「あぁ、ずいぶんと参ってたみたいだな…」
リョウコが眠ってすぐ、奥からジュンが戻ってきた。
ジュン
「そっか…ちと無理させすぎたかもな」
サトル
「だな。ところでそっちの方は?」
ジュン
「ん?ん~まぁ…なんだ…」
サトル
「どうした?」
ジュン
「…いや、見付からなかった」
サトル
「……そうか。せっかくここまで来たのに、残念だな…」
ジュン
「そうでもないさ…奥で手紙を見つけたよ…ほれ」
『私はこの地球に残った全ての人類を救いたかった…だが1人のちっぽけな人間が救えるのなんて限りがある。両手に抱えきれないほど持った所で、溢れた物を落としてしまい、そこから次々と溢れ出てしまう…。ならば私のやるべき事はなんだ?この両手で抱えきれる物を大切にする事だ。そこで私は、この病院にいる未来有望な子供達を救いたいと思う。すまない…私にできるのはここまでだ…ここに残した者達…そして、この手紙を読んだ者…本当すまなかった…力のない私を許してくれとは言わない。だがどうかこの子達の幸せは祈っていてほしい。そして自我を保っていられているのなら、嘆き苦しみ死んではいけない。そして─────。以上で私はペンを置く』
ジュンが持ってきた手紙にはたしかにそう書かれていた。
サトル
「ん?この最後の部分…」
ジュン
「ぐちゃぐちゃに汚れてて読めねぇな。何か書かれていたんだろうが…」
この手紙を書いた人物は最後に何を書いたんだ?
そしてなんだったんだ…?
ジュン
「まぁそんなこんなで無駄足だったみたいだな。リサは無事出ていったみたいた」
サトル
「リサ?あぁ、妹の名前か」
ジュン
「そ。んで俺が残ったのも無駄でしたとさ。めでたしめでたし」
サトル
「ジュンが残ったのは無駄ではないさ…少なくとも俺やリョウコは助かった」
ジュン
「そうか?なら残った意味は少しはあったんだな」
サトル
「お前は生涯最高のダチだよ、まったく」
ジュン
「お!偶然。俺も同じ事考えてた」
こうして残り少ない時を、最高のダチと一緒に笑い合った…
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