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リョウコ
「…サトル…?」
サトル
「お?気が付いたか?」
リョウコ
「…うん……あれ?ジュンは?」
サトル
「…ジュンは残ったよ……」
リョウコ
「……そっか…」
サトル
「もうちょっと待ってろ?」
リョウコ
「…どこに向かってるの?」
サトル
「着いてからのお楽しみってやつさ」
リョウコ
「…ふふ…なら楽しみに待ってる……」
サトル
「リョウコ?」
……………
サトル
「リョウ─」
一瞬、最悪の事態が頭を過ったが、まだリョウコの心臓は動いている。
弱々しくて今にも止まりそうな小さな鼓動が、俺の背中を通して伝わってくる
サトル
「頑張れ…頑張れリョウコ…」
俺の体力も限界に近かった。
その頑張れは自分にも言い聞かせてたのかもしれない…
リョウコ
「…サト…ル…無理は…しないで…」
サトル
「大丈夫…だ。リョウコは休んでな」
リョウコ
「……………」
サトル
(急げ…急げ!)
今が何時で、あとどれ程の時が残されているのかなどどうでもよかった
ただ、一時の瞬間さえ残っていれば…
リョウコ
「サトル…私ね、前までは自分はなんて不幸なんだろって…思ってたの…」
サトル
「…ん…」
リョウコ
「…でも違った……私は、世界一…どこの誰より…一番幸せだったんだね…」
サトル
「残念…だけど、リョウコは世界一じゃないよ」
リョウコ
「…え?」
サトル
「世界一幸せなのは…そんなリョウコと一緒にいる俺だから…なんて。ちょっと臭すぎたな。はは…」
リョウコ
「サトル……」
サトル
「だから…頑張れリョウコ…俺の…キミの幸せのためにも!」
リョウコ
「…うん…」
コクンと小さく頷くと、リョウコは再び眠り出した…
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