誰が為に鐘は鳴る(後編)

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肉と肉、骨と骨がブツかり合うのだから、いくらほとんどガードしたとは言え、ダメージはどんどん体を蝕む。 現実はマンガのように中々うまくいかない。 明らかに先程のアッパーが効いて、ほんのわずかに腰砕け状態のミスター。 だが攻め込むチャンスだというのに、タイラントは飛び掛からない。 構えながらジリジリと近付いていく。 ミスターのカウンターを恐れての事だろうか? それとも気付いてないだけなのか? まぁ、確かにオレだったら効いてるフリをしているのかもしれない、と警戒する。 オレはしばらく膠着状態が続いて、以後ドロドロな展開になる事を予想したのだが・・・ 実はこの後、一気に試合が終結へと向かう事になった。 ジリジリ近付いていったタイラントが、あと2~3歩でお互いの射程範囲に入る頃だった。 タイラントはそこから一気に距離を詰める。 ここでタイラントは長年積み重ねてきた柔道技で行くのか・・・ それとも天性の破壊力を秘めた、どれもが一撃必殺の打撃で行くのか・・・ タイラントの肩が動いた。
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