誰が為に鐘は鳴る(前編)

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畳の上で寝技の応酬が始まったが、すぐに決着が着く。 タイラントが上になったと思った途端、ゴウキに巻き付くように動いた。 すると右腕を相手の首に回し、左手で袖を掴む『袈裟固め(ケサガタメ)』の体勢に入る。 一応寝技は決まってしまったのだが、この場合押さえ込んでも勝ちにはならない。 そしてタイラントの寝技が決まったのを見た瞬間、誰もが思っただろう。 『あの体格差だぞ?あんな体育でも習うような袈裟固めでゴウキが押さえ込めるかっつうの』と・・・ オレも少し前まで袈裟固めという寝技をナメていた。 授業程度でしか習ってないのだが『こんな関節技でも絞め技でもない、ただ押さえ込むだけの袈裟固めなんか、いざ実戦で何の役に立つんだよ』と。 だがタイラントの押さえ込みは全然違う。 正確に言うと、ちゃんと柔道をやっている者は全員そうなのだろうが・・・ オレが遊びでタイラントの寝技を食らった時感じた事は、押さえ込みと言うより絞め技に近かった。 いや、絞め技そのものに感じた。 タイラントは体格だけで言えばオレより気持ち小柄だ。 だが・・・

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