第一話(最終話)

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 私は機械人形だ。  いつ、どこで造られたのかは、もう覚えていない。自分の名前すらも忘れた。  覚えているのは、私は何かを守る為に造られたという事だけ。  何を守っているのかは、秘密保護の為、プログラムされていない。つまりは、知らない。  私の中にバグが発生した。  私は、もう長い間起動している。つまりは、生きている。  何かを守る為だけに生きてきた。  その為だけに造られた。  しかし、私は生きるのに疲れた。守る為だけに生きるのに疲れた。  もう、壊れたい。つまりは、死にたい。  これがバグだ。  守る為に造られたのに、守る為に生きるのに疲れたのだ。死にたいと思ったのだ。  私の守っているものを狙ってか、私を襲う者もいた。壊そうとする者もいた。  しかし、私には襲う者は殺すようにプログラムされている。手加減するというプログラムは存在しない。  みんな私に殺される。みんな私より弱いのだ。  私には、自殺をするというプログラムも存在しない。自殺もできない。  だから私は死ねない。  死にたいと思っているのに。  壊れたいと願っているのに。  私はこれからも、死ぬ事を夢見て、今まで通り守るものを守っていくだろう。 死ぬ事を夢見て、ずっと。  ずっと。  ある時、私はふと思った。  私の中のバグは、本当にバグだったのかと。
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