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私は機械人形だ。
いつ、どこで造られたのかは、もう覚えていない。自分の名前すらも忘れた。
覚えているのは、私は何かを守る為に造られたという事だけ。
何を守っているのかは、秘密保護の為、プログラムされていない。つまりは、知らない。
私の中にバグが発生した。
私は、もう長い間起動している。つまりは、生きている。
何かを守る為だけに生きてきた。
その為だけに造られた。
しかし、私は生きるのに疲れた。守る為だけに生きるのに疲れた。
もう、壊れたい。つまりは、死にたい。
これがバグだ。
守る為に造られたのに、守る為に生きるのに疲れたのだ。死にたいと思ったのだ。
私の守っているものを狙ってか、私を襲う者もいた。壊そうとする者もいた。
しかし、私には襲う者は殺すようにプログラムされている。手加減するというプログラムは存在しない。
みんな私に殺される。みんな私より弱いのだ。
私には、自殺をするというプログラムも存在しない。自殺もできない。
だから私は死ねない。
死にたいと思っているのに。
壊れたいと願っているのに。
私はこれからも、死ぬ事を夢見て、今まで通り守るものを守っていくだろう。
死ぬ事を夢見て、ずっと。
ずっと。
ある時、私はふと思った。
私の中のバグは、本当にバグだったのかと。
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