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入国
カチ、コチ、カチ、コチ……と、秒針が刻む音が響く。
真っ暗で、何もない小さな部屋の中。
大きな時計塔の前で、ひとりの女性がひざまづいていた。
「…やっと…この日が来た…」
カチコチ…カチコチ…。
真っ赤なドレスを身にまとった女性は、胸の前で両手をあわせる。
指をからませ、きつく握りしめた。
「今度は…今度こそ……絶対に…」
カチッ。
と、時計の短い方の針がぴったりと3の数字を指し、長い方の針が盤上の真上を指した。
…ボーン……ボーン……ボーン……ボーン……。
「…さあ、おやつの時間だ。…アリス」
真っ赤なドレスが、風にあおられて舞い上がった。
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