第1番

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「君、名前は何て言うんですか?」 「神無月 千冬(カンナヅキ チフユ)です」 「千冬ちゃんだから、『フユちゃん』なんですね」 「そうですね」 ……… …… … 沈黙。 やばい、気まずい……。 「あー……、先輩の名前は何ですか?」 「聞いてくれないかと思いました」 先輩はそう言って少し笑ったあと、 「堀内 裕哉(ホリウチ ユウヤ)です。ちなみに名前で呼んでほしいです」 突然可愛いことを言い出すので、わたしはつい笑ってしまった。 「わかりました。裕哉先輩」 「はい。じゃあ僕は『フユちゃん』ですか?」 「なんとでもどうぞ?」 一応先輩だし、呼びたいように呼んで構わない、という意味だったのに。 「……フユちゃんのその強気な態度って、壊してみたくなるよね」
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