【壱】友情と出逢い、そして陰謀…

2/15
前へ
/45ページ
次へ
東京都 練馬区 「よっしゃー!やっとログインできる!」 1000年前には想像できないほどに発展した東京に、明るい少年の声が響いた。 「たった一週間とはいえ、タクにとっちゃ長かっただろうな。これからはちゃんと勉強しろよ。また一週間ログイン禁止になるぞ。」 もう一人の声は年の割に落ち着いていた。 最初の声の主とは同い年なのだろうが、どこか大人びている。 「分かってる、分かってる。じゃ、マサ!十分後にいつもの場所でな!」 「はいはい。全く、後先見ない性格はいつまで経っても変わらないな…」 「うるせぇ!いつまで経っても俺に追い付けないくせに!」  タクの挑発に、マサと呼ばれた少年は軽く鼻で笑って応えた。  挑発に乗らないのはマサが大人だからだろうか。 それとも元来の性格だろうか。  彼はそのまま後ろ手に手を振り、自らの家に向かった。  そんなマサの素振りに、タクは腹を立てた様子もない。 マサとは幼稚園からの付き合いで、周りからは「兄弟みたいだ」とよく言われている (まぁそのあとに高確率で、マサが兄貴分だなというオプションが付いてくるが……)。 そんな二人だから、お互いの考えていることはなんとなくわかるのだ。 口には出さないが、マサがタクの帰還(?)を喜んでいるのは間違いないだろう。 『あのゲーム』は複数人でやった方が楽しいのだから。 「待ってろよーーーッッ!!!」そう叫んでタクも自らの家に向かって走り始めた。
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加