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東京都 練馬区
「よっしゃー!やっとログインできる!」
1000年前には想像できないほどに発展した東京に、明るい少年の声が響いた。
「たった一週間とはいえ、タクにとっちゃ長かっただろうな。これからはちゃんと勉強しろよ。また一週間ログイン禁止になるぞ。」
もう一人の声は年の割に落ち着いていた。
最初の声の主とは同い年なのだろうが、どこか大人びている。
「分かってる、分かってる。じゃ、マサ!十分後にいつもの場所でな!」
「はいはい。全く、後先見ない性格はいつまで経っても変わらないな…」
「うるせぇ!いつまで経っても俺に追い付けないくせに!」
タクの挑発に、マサと呼ばれた少年は軽く鼻で笑って応えた。
挑発に乗らないのはマサが大人だからだろうか。
それとも元来の性格だろうか。
彼はそのまま後ろ手に手を振り、自らの家に向かった。
そんなマサの素振りに、タクは腹を立てた様子もない。
マサとは幼稚園からの付き合いで、周りからは「兄弟みたいだ」とよく言われている
(まぁそのあとに高確率で、マサが兄貴分だなというオプションが付いてくるが……)。
そんな二人だから、お互いの考えていることはなんとなくわかるのだ。
口には出さないが、マサがタクの帰還(?)を喜んでいるのは間違いないだろう。
『あのゲーム』は複数人でやった方が楽しいのだから。
「待ってろよーーーッッ!!!」そう叫んでタクも自らの家に向かって走り始めた。
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