里での暮らし

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呼びにきた風太の背後から、ひょこんと三つの顔があらわれた。 「姫様、こいつらがどうしても会ってみたいって言うんだ」 二人は男の子、一人は女の子である。風太の影から物珍しそうにこっちを見ている。 「そんなとろにおらず、お入り」 凜姫は風太との子どもたちを招き入れた。三人はわあっーと歓声をあげて凜のまわりに座った。 三人は彦造の子どもたちであり、三人の一番上で、風太と同じような背格好で賢そうな顔つきの佐助。やんちゃ坊主のような目をしていて、前歯が二つともないのが二番目の太一。恥ずかしがりでおとなしそうなのが末っ子のともえといった。 「姫様ほんとに綺麗じゃのう」 「俺はこんな綺麗な人見たことないぞっ」 「お着物もキラキラしててすごく綺麗じゃ」 三人は目を輝かせて口々にものを言った。特に末っ子のともえは上掛けの着物に見とれているらしい。 「着て見る?」 凜は聞いた。ともえは驚いて大きく目を開いた。 「だめだっ!姫様!いくらなんでもそんな恐れ多い!」 佐助は大きな声をあげ、首を横に激しく振った。 「何を言っておる。良いのです。ほら!」 凜は半ば強引にともえに、自分の上掛けを着せた。ともえはあまりのことに戸惑っている。凜は微笑んだ。 「ほら、くるりと回って!兄さんたちに見せておやり」 幼いともえは申し訳なさそうに首をすくめていたが、ゆっくりと回ってみせた。 「よーく似合ってますよ」 凜は微笑みながら言った。それを聞いてともえは恥ずかしそうに、はにかんだ。 「良かったなあ♪ともえ」 風太と佐助と太一にほめられたともえは嬉しそうに両の腕をあげて、うふふと笑ってみせた。それを見たみんなは大きな声で笑った。 障子の外からそのやり取りを聞いていた牙們は、静かに微笑んだ。
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