1年 12月 下章

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それともう一つの座席に目をやる。 亀田君の席だ。あいつもあの日以来から学校に来ていない。 陸上競技場にいたときまで、亀田君の体調は良かったハズだ。急に明日香と同じタイミングで休むなんて…何かあったのかな? そして正面に視線を戻す。今は授業中。大半の生徒は昼寝に徹しているか他の事に夢中になっている。 この教室で真面目に受けていたのは明日香ぐらいだ。他のクラスなら水原君なんかが授業に参加しているのではないか。 あいからわず淡白な授業だ。 亀田君がいたら、小声でおしゃべりなんかしていたのに。 あ。 ああ、もしかして。 俺、転校して来て初めて一人になったんじゃないのか? ………。なんだか、寂しい。
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