1年 1月 上章

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去年、言い換えれば数日前のクリスマスは気分は最悪だった。 頭をよぎるのは彼の事ばかり。もしかして、ひょっとすると私の家に訪れるのではないか。 …そんな事あるはずないのに。私は彼を突き飛ばしてあの場から逃げたのに。 『会うのが怖いんですか、パワポケ君に。 逃げて逃げて、ずっと会わないつもりですか?』 『正直…見ててムカムカします。 終わったことはああだ。こうだ。って、時間を巻き戻せるんですか?』 あの日、外藤さんに向けて放った言葉が私の胸に突き刺さる。 結構私もパワポケ君から逃げている。 向こうから来てくれるのに期待しているのに私は避けている。 並ぶ行列は、まだ長い。 クリスマスは何も起こらなかった。 そうだもんね。私は何もしてなくて、ただ淡い期待をしていただけだもの。 『そんな事言っているより、あなたはやるべき事があるでしょう?』 そうだよ…。 こんなんじゃ駄目。考えが暗い方に向かってる。 私は決めたんだ。年が明けたら学校に行くって。暗い顔して彼に会えない。 ―――外藤さんもこんな気持ちで学校生活を送っていたんだろうな。
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