1年 1月 上章

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「きゃあああ!誰かその人を捕まえてえ!!」 慌ただしい声が境内に響く。えっ…今のはなに…? 「ちっ!」 「ドロボーよ!捕まえて!誰か!」 元日から早々事件が起こったみたいだ。ニット帽の男は女性もののハンドバックを抱えて神社の鳥居に向かって逃げている。 「オラァ!どけ!邪魔なんだよ!」 「うわっ!」「きゃっ!」 お詣りに来ている人を突き飛ばして逃げ回る男。 こ、こんな時どうすればいいの!?警察に連絡?それとも体を張ってぶつかりにいくの? そんな事をうだうだ考えているうちに男はもう神社から逃げ出しそうだった。 「ぼやぼや突っ立ってんじゃねえ!」 あ!危ない! 髪の毛を結ってある男の子、思いっきりぶつかっちゃう! 私は思わず目をつぶった。 そして再び目を開けた時、 ニット帽の男は頭を抱えて倒れていた。
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