1年 1月 上章

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「いかりー?あたし野球キョーミないから分かんなーい。」 「お前は甲子園の優勝校ぐらい覚えとけよ…。」 横に並んでいたカップルの会話を耳にする。 「あの強面の方が猪狩の兄、『猪狩守』。スタミナ、コントロール、速球、さらには野手能力もピカイチ!将来のプロ野球界を背負う天才野球選手だ。」 「あの優顔の方が猪狩の弟、『猪狩進』。リード、俊足、巧打の超高校生級のエリートだ。 兄が卒業してもチームを引っ張る存在になるだろうな。」 と、随分詳しい情報を聞いた。弟君はパワポケ君と同学年何だっけ?なら、直接対決もあるんだろうな。 しばらくしてパトカーが駆けつけた。さらには新聞社まで。 「パワフル新聞社の大谷という者です。いやあ、凄いですね!あなた達は甲子園でなくてもヒーローですよ。」 「い、いやあ…。僕は去年はベンチでしたし…今日もそんな大した事なんてしていませんよ。」 「進。そんなに謙遜しなくてもいいじゃないか。 ふふん、甲子園でなくてもヒーロー…。カリスマというやつだな!はっはっは!」 ニット帽の男は泣きながらパトカーに乗った。よりにもよってこんな2人に出くわしてしまったのだ。世間の扱いの差に悔しいのだろう。合掌。 「きゃー!まもるクーン!こっち向いてー!」 「すすむクンかわいい!きゃー!」 「サインくれー!」 「猪狩兄弟は俺の嫁」 あ…。今の内にお詣りしておくか。
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