1年 1月 上章

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「真由子…ぐう…。」 「…水野、君…。」 ほ。よかった。抱き付いたまま眠ったよ。彼女さんも寝ちまったようだ。 やれやれ、これでやっと休める。 ふと時計に目をやる。 とうに日をまたいで短針は12と3の間を示していた。 普通こういうのは、ギリギリまで起きてて、12時になったら「明けましておめでとう!」とか言うもんじゃないのか? まあ、いいか。俺ららしくて。世間と多少ずれている方が似合ってるし。 …あれ? そういえば、初日の出ってどこで見るんだ? (ガチャ!) 「あ…もう入って大丈夫か?」 入って来たのは野球部の平山君。普段頼りなさげな顔をもっとすぼませて部屋に入る。 …まさかずっと、廊下にいた訳じゃないよな?まあそれは置いといて、 「…平山君。初日の出ってどこで見るんだい?」 「聞いた話だと…確か神社の境内。ほら、この辺じゃ建物が多くて高い場所ってそこぐらいしかないだろ?」 ………もしかしてパワプル商店街より向こうの? ははははは………。 「急げっ!!ここから相当離れているぞ! 平山君はそこのバカップルを運んで!俺は亀田君と安田を担ぐから!」 「お、おお!?」 新年早々、肉体労働か…。ははっ、俺らしい。
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