1年 1月 上章

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俺は…無駄な事をしていただけだったのか…? 甲子園…プロ野球…何で? なんでこの学校でやり遂げようとしていたんだっけ? こんな廃れた野球部で甲子園?いや、無理だろう?どうして、どうして、どうして…。 目の前の男性――スカウトさんは、俺の肩をぐっと掴む。 「私は君のような才能溢れる選手が、夢を実現出来ずに朽ちていくのを見ていると、とても悼まれない。自分は大人で、未来ある若者の手助けをするべき存在なんだが、世間では野球を止めてしまう高校生もいる。 野球という素晴らしいスポーツを止めてほしくない。私は君の夢を応援したいんだ…」 スカウトさん…そこまで俺の事を…。 「さあ、こんなとこで話もなんだから、どこか近くの…」 その時、後ろから何かが飛んできた。 「うぐっ!」 ボカッ、と鈍い音と共にスカウトさんは倒れる。 「ああっ、スカウトさん!な、何が起こったんだ!?」 「全く、見ちゃいられないな。」 ボールが飛んできた方向から声が聞こえた。
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