1年 1月 上章

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「ご―め―ん。美味しそうなドーナツがあったからついつい買っちゃったー」 巨体を揺らし走ってきたのは同じくパワフル高校の野球部。 ちなみに片手に握られているドーナツの袋はすでにからっぽだ。 「香本(こうもと)じゃないか。お前は寄り道してないでもっと早くこいよ」 「ごーめーん。それじゃあ早く初詣行こーよー」 「ああ、そうだな。 やい極亜久高校の!そこのボールくれてやるよ。せいぜいお遊び野球でもやっているんだな!」 (スタスタ…) 俺は… 「舐めた気持ちで野球なんかをしていない…!」 …そんなもう届かない言葉を呟く。 そこにあるのはただ呆然と立ち尽くすパワポケと、汚れのない真っ白なボールが転がっていただけだった。
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