196人が本棚に入れています
本棚に追加
「まだ人がいるな…」
「そりゃあ、地元民の隠れスポットだからな。初日の出見るなら大抵の人がここに集まる」
取りあえず近くのベンチに腰掛けることにした。
それにしても重かった…担いでいる酔っ払い共もベンチに下ろす。「あたっ!」と声を漏らしたが、ここまで運んでやったのは誰だと思ってやがんだ?いい加減に酔い覚めろい。
「あー…疲れたなあ…」
「ん…そうだね」
「新年早々から肉体労働かー。今年は何が起こるか分からないなあ…」
「だね」
もう空は白くくすみ始め、待つ人達がいよいよか、と待ちわびている。
ここはそんな人達から数メートル離れた所。ひと時ついたら早く移動しなくちゃな…。
去年は色々あった。
この極亜久高校に転校して、亀田君らの仲間と出会い、そして…明日香に会った。
明日香…。小学生時代以来の友達…。
そういや、あの日から会っていないな。…いわゆる『修羅場』のような日。
その日から明日香は学校を休む事になった。ようこ先生が言うには持病が発作した訳ではないらしい。(明日香は心臓の病を患っている)ただ…本人が気分が悪いと言っていると聞いた。
学校が終わっても、クリスマスにも、明日香はずっと家にいるらしい。
今年のクリスマスは最悪だった。
もしかして学校が始まっても、明日香はもう来ないんじゃないか…そんなマイナス思考な思案。そんな考えを一日中ふけっている内にクリスマスは終わった。
何事もなく、大切な日を終わらせてしまったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!