1年 1月 上章

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「まだ人がいるな…」 「そりゃあ、地元民の隠れスポットだからな。初日の出見るなら大抵の人がここに集まる」 取りあえず近くのベンチに腰掛けることにした。 それにしても重かった…担いでいる酔っ払い共もベンチに下ろす。「あたっ!」と声を漏らしたが、ここまで運んでやったのは誰だと思ってやがんだ?いい加減に酔い覚めろい。 「あー…疲れたなあ…」 「ん…そうだね」 「新年早々から肉体労働かー。今年は何が起こるか分からないなあ…」 「だね」 もう空は白くくすみ始め、待つ人達がいよいよか、と待ちわびている。 ここはそんな人達から数メートル離れた所。ひと時ついたら早く移動しなくちゃな…。 去年は色々あった。 この極亜久高校に転校して、亀田君らの仲間と出会い、そして…明日香に会った。 明日香…。小学生時代以来の友達…。 そういや、あの日から会っていないな。…いわゆる『修羅場』のような日。 その日から明日香は学校を休む事になった。ようこ先生が言うには持病が発作した訳ではないらしい。(明日香は心臓の病を患っている)ただ…本人が気分が悪いと言っていると聞いた。 学校が終わっても、クリスマスにも、明日香はずっと家にいるらしい。 今年のクリスマスは最悪だった。 もしかして学校が始まっても、明日香はもう来ないんじゃないか…そんなマイナス思考な思案。そんな考えを一日中ふけっている内にクリスマスは終わった。 何事もなく、大切な日を終わらせてしまったのだ。
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