1年 10月

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『うわーっ、大きいなぁ。』 『うん。広いねえ。』 なんだ…? 暖かくて、懐かしくて、そして少し切ない。 『ここで野球をするんでしょ? すっごいなぁ。』 子供が目を輝かせ、男性に語り出す。 『ははは、お前も大きくなったら、やってみるか?』 『うん!』 どこにいるんだ?この子供と男性は誰なんだ?するって…野球を? ギラギラ輝く太陽とほのかに香る土の匂い。 どこまでも澄み渡る青空。 電光掲示板にライトがつく。 そこで、急に景色が遠のいていった。 「…あれ?ここは…。」 「パワポケ君!起きたでやんすか!」 目の前には亀田君が。ここは保健室? イタッッ…! 「じっとしてるでやんす。まだ顔が痛むでやんすか?」 頭がボ~っとする。さっきまで懐かしい夢を見ていたような気がしたけど、どんな夢か忘れてしまった。 なんで俺はこんなところにいるんだろう…。 「村上君に勝負をして、負けてしまったんでやんす。」 あ…そうか、思い出した。それでなんで俺はダウンしてしまったんだ? 「ケリをくらったんでやんすよ。右手で突こうと見せかけて、右足で垂直蹴りでやんす。」 ああ、手だけを見ていたから、足に対応出来なかったって事か…。 「後、時間を計ってみたでやんす。」 「へぇ。 4、50秒くらい?」 亀田君は少し躊躇して、告げた。 「………15秒、でやんす………。」 「う、嘘だろ?!」image=285015257.jpg
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