1年 10月

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オイラはタイミングを見計って、物陰から出てきた。 まあ、何でこんな事をしてるかと言うと、元野球部の先輩…外藤さんが向こうに見えたからでやんす。 初め会ったときは、顔が怖くて、噂の千本タコ殴りフルコースを喰らわせられると思ってたでやんすが、パワポケ君が倒れた時に、外藤さんがここまで運んでくれたんでやんす。しかも、看病もしてくれたでやんす。でも… 『コイツに会ったら厄介な事になる』 って言ってどっかに行っちゃったでやんす。 喧嘩でもしているんでやんすかねぇ? …喧嘩? 今更になって何で自分が気を利かせたのか、わかんなくなっちゃったでやんす。 「お待たせでやんすー!」 「忘れ物したってのに何も持ってきてないんだな。」 ギク!鋭い! しかもどこか表情が暗いでやんす! 「そんな事はないでやんすよ~?は、早く帰るでやんす。」 「はぁ…そうだね。 早く帰って、村上君の対策法を考えなきゃ。」 「………。」 野球部に興味無さそうに振る舞っていたでやんすが…外藤さんはまだ未練があるみたいだったでやんした。 「お~い、亀田君早く行こうよ。」 「今行くでやんす。」 パワポケ君の思ってくれる人は近くにいるでやんす。 なんで気づかない? 別にこのまま外藤さんと仲直りしなくてもいい。でも…。そんなんでいいんでやんすか?パワポケ君。 このままお互い相手の事を忘れていって…外藤さんは野球を出来なくて… そんなの、寂しすぎる。
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