1年 11月

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「逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ。」 「? 始めます。60分頑張って下さい。」 (パラパラ…カチカチ…カッカッカッ…) とうとうこの日の火蓋が切って落とされた。 俺は…負けないぞ!! うぉぉぉおおぉ……! 「1日お疲れ様でした。話はそこそこにして早く終わりにしましょう。 …号令!」 きりーつ、きょーつけ、れい、ありやとあしたー。 張り詰めた空気から開放された生徒は、早速おしゃべり開始だ。 あそこの問題がどーとか、時間が足りなかったとか、帰りどこかに寄っていこう、など。 しかし、パワポケはそんな事はどうでもよかった。焦燥感と哀愁感が漂っている。顔は見るも不様な間抜けな表情。 「あの…パワポケ君…? 大丈夫でやんすか…?」 「………。」 もはや亀田の声など届いてはいない、どこか遠くの世界へ行っているようだ。 「あ…あはは…。はは…。 カメダクン、カエロウカ。」 「りょ、了解でやんす…。」 駄目だ。完全に頭が真っ白になっている。このままでは、こちらの世界には帰ってこないかもしれない。そこで亀田は提案する。 「今日はゲーセンに寄っていくでやんす。 部員のことも、テストのことも忘れて、パッーと遊ぶでやんす!」 「うふふふ…。ん?ゲーセン? いいだろう!叩き潰してくれるわっ!」 まんまとテンションが上がったパワポケ。どうやら危ない橋を渡る前だったようだ。 亀田、ナイスファインプレー。
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