1年 11月

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儂は今日も1人で練習しちょる。 自ら組み合い(対戦)を求める奴は、もうこの部にはおらん。 (ドスッ!ドスドス!) ボクシングで使うサンドバックという道具を吊り下げて、突きの練習をする。 半年も使っていないが、もうすでにガタがきちょる。親父にでも頼もうとしたが、その考えはすぐに止めた。 儂はあいつが好かん。裏でコソコソと根回ししとる奴を見てると腹ただしい。 「…ふぅん!」 (バッシーーン!) (ガタン!) とうとうピンが外れたか。木造建築で造られた部室だ。 天井に張り付けた支柱が脆かったかもしれん。 「……ふぅ。」 今日はもう終わりか。 儂は取りあえず休憩に入る。 自分の手を見てみる。 皮は擦りむけ、厚い皮膚に覆われている大きな手。
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