1年 12月 上章

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12月。 芽吹き始める春から草木生い茂る夏、紅に染まる秋を過ぎて冬が訪れた。 冬は辺り一面純白な雪で覆われる季節。しかし12月に入ってまだ雪は降っていない。 ただ白い空と人々の吐く息が見られる。 「すっかり寒くなったなあ。」 俺、パワポケは今日も親友の亀田君と学校に向かっている。 秋期大会が終わって野球部は事故に合って全滅、そして野球部を新たに復活させる為に立ち上がった。 「もう秋も終わったでやんすからねえ。暖かい日溜まりは当分お預けでやんす。」 11月下旬で部員は4名。来年まで…俺が2年生になる前までか。部員を集めなくてはならない。 学校についたらやるべきことがたくさんある。 はっー、と息を吐く。 秋にも見かけた白い塊は、姿を表したとたんに空気に溶けた。 もしこの塊が消えずに残ってたらこの町は白い住民で溢れかえるんだろうな。 「あー…さぶさぶ。 亀田君、早く学校に行こうか。」 「そうでやんすね。 ストーブがオイラを待っているでやんす!」 学校にストーブが設置されたのもつい最近。
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