196人が本棚に入れています
本棚に追加
先輩たちは遊びに行って、外藤さんはどこかに行ってしまった。
部活を見回す。
昨日は外から見ただけだったが、今はこの部屋にいる。臭いに耐えきれず、窓を開ける。
酷く臭い。先輩たちは、鼻が慣れるまで今まで遊んでいたのか…?
壁を見ると、謎のコスチュームが掛けてある。何に使うか分からない。
俺はこのまま居ても仕方がないと思って練習することにした。
「おう、新入り。頑張っとるか?」
外藤さんは先に練習していた。あの先輩たちと遊びに行ってたと思っていたが、俺はなんて失礼なことを考えていたのだろう。
「はい!」
思いっきり返事をした。
「練習熱心なのは結構やけど、ケガには気ィつけよ。」
さっきは殴られたりしたけど、この先輩は見た目よりも良い人なんだと実感する。
「ところで、外藤さん以外の人は、全然練習しないですね。」
「まぁな。野球するために、この部に入ったやつはおらんからな。」
やっぱり、あの人たちは高校生活の大半を怠けて過ごしていたんだな。でも野球は9人でやるものだ。
先輩たちには戻ってきて欲しい。
「俺たちが練習を続ければ、それを見てみんなもやる気を出してくれますよ。」
「アホぬかせ。『ナマイキや』言うて、2人そろってシメられるのがオチや。」
「ふぅ…。
こんなんじゃ、プロへの道は遠いなぁ…。」
「プロ!?
お前、プロになるつもりなんか?
こりゃ、笑えるわ。ぎゃははは。」
外藤さんは腹を抱えて笑い出す。
バカ笑いする外藤さんにムッときた。
「笑い事じゃないです。
俺は、本気でプロを目指しているんですよ。」
「まぁ、聞けや。
この学校は、元々別の名前があったんや。
それがいつからか、極亜久(ごくあく)高校と呼ばれるようになってしもた。まぁ、それぐらい評判が悪い、というこっちゃ。
そんな所に、プロのスカウトが来るわけ無いやろ?」
「……。」
「お前も夢見とらんと、人生楽しめや。
ほんじゃ、先に帰るわ。」
「……
俺は、絶対に諦めないぞ!」
最初のコメントを投稿しよう!