1年 12月 上章

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「ちょっと待て!何なんだこのルールは!」 飛び出してきたのは陸上部員。 確か、俺のクラスにいた奴だったような…。 「おい、武田!こんなルールは初めてだ!すぐに取り消せ!じゃないと…お前…。」 急に声のトーンが下がる。そうか、この人は…武田君が負けるのを恐れているのか…。 今まで共に練習を励んだチームメイトがいなくなる…。それは俺だって寂しい。 しかし武田君は短く笑って答えた。 「このルールは今まで陸上部ではやっていない、俺の思いつきのルールッス。」 「だから…何で!」 「嫌な話、このままだと俺は負けてしまうッス。だから、この勝負に難易度を上げた。 …でも負ける気はないッス。俺達にはこれがあるじゃないッスか。」 トン、と武田君は自分の目を軽く触る。 「目…?…そうか、胴体視力! 俺達1年生はストップウォッチの計測練習をしていたからな。でもそう勝てるとは…。」 「水野。」 武田君がそう呼んだ。
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