1年 12月 上章

24/26
前へ
/180ページ
次へ
陸上グラウンドの真ん中、お互いの声が響きあう。 観衆が見守るなか、ただ必死に腕を降り続ける。 だけど。 どんなに勝負が続いても。 結果が出たら、そこで終わりなんだ。 例えそれがどんな結果でも―――。 勝負はあっというまに決着はついた。 元を正せばこれはお遊戯を題材にした勝負。 1日ともかからずに終わる、簡単なゲーム。 あんなに熱していた空気は風が運んでいってくれた。 俺は亀田君と共に陸上競技場を後にした。 「おーい!」 陸上部員が遠くから叫んでいる。 「また遊びに来いよー!」 …ははは。まいったまいった。 俺も大きく息を吸って言い返す。 「好き好んで来ることはないだろうけどなー!」 「今度は茶菓子があると嬉しいでやんすー!」 「(バキ!)お前は何なんだっー!!」 夕暮れに染まりつつある空と吹っ飛ぶ亀田君の姿。風情ある………ワケないな。
/180ページ

最初のコメントを投稿しよう!

196人が本棚に入れています
本棚に追加