1年 12月 下章

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お互い口を開くことはない。 ただじっとストーブの火を見つめている。 人間、火をじっと見ていると気分が落ち着くのは何でだろう。 ………。 重い口を開けたのは外藤さんの方だった。 「確かに…コソコソしてるなんて格好悪い。 そんなに心配だったら野球部に戻ればええっちゅうに。でもな、自分は、俺は、そう簡単に戻れんねん。」 「どうしてです?」 初対面の時より、随分対等にしゃべれるようになった。自分でも思うが、口調がまるでパワポケ君のようだ。 「俺は、」 耳を傾ける。 「あいつに責任を全部押しつけたんねん。」 じゅう。 ストーブのバケツの水が切れた音がした。
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