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取りあえず反射的に笑顔を取り繕う。なるべく、いつもの俺らしく。空気が読めていないような感じで。
外藤さんは後ろ姿だけど確かにいた。さっきまでの会話は夢では無かったのだ。
そして多少会話したときに突然、俺は明日香に突き飛ばされた。
教室から出て行った明日香を追おうと思ったが、情けないことに足がすくんでしまった。
ただ去っていく明日香の背中を見ているだけ。
…あんなに感情的になるなんて。初めて見たかもしれない。
幼なじみって言っても知らないことばかりだらけじゃないか…。
「…パワポケなのか…?」
教室に視線を戻すとそこには予想通りの人物がいた。
「…外藤さん。一体何を話して…。」
「な、何でもあらへん。
ちょっと嬢ちゃんに相談事をな…。」
「それって…明日香?
相談事って、温厚な明日香が躍起になったんですよ?ただ事じゃあないでしょう!」
「………。」
さっきから様子がおかしい。さっきからチラチラとこちらの表情を伺って、どっちが先輩か分かったもんじゃない。
もしかして…この人は…。
「まさか明日香に手を出したんですか!?
さっきの物音といい、乱暴な事まで!?」
「………俺は、ただ、」
否定………しなかった!!
しかもこんな事言われて、淀み口で言い訳なんかを言おうとしている…。
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