1年 12月 下章

14/25
前へ
/180ページ
次へ
取りあえず反射的に笑顔を取り繕う。なるべく、いつもの俺らしく。空気が読めていないような感じで。 外藤さんは後ろ姿だけど確かにいた。さっきまでの会話は夢では無かったのだ。 そして多少会話したときに突然、俺は明日香に突き飛ばされた。 教室から出て行った明日香を追おうと思ったが、情けないことに足がすくんでしまった。 ただ去っていく明日香の背中を見ているだけ。 …あんなに感情的になるなんて。初めて見たかもしれない。 幼なじみって言っても知らないことばかりだらけじゃないか…。 「…パワポケなのか…?」 教室に視線を戻すとそこには予想通りの人物がいた。 「…外藤さん。一体何を話して…。」 「な、何でもあらへん。 ちょっと嬢ちゃんに相談事をな…。」 「それって…明日香? 相談事って、温厚な明日香が躍起になったんですよ?ただ事じゃあないでしょう!」 「………。」 さっきから様子がおかしい。さっきからチラチラとこちらの表情を伺って、どっちが先輩か分かったもんじゃない。 もしかして…この人は…。 「まさか明日香に手を出したんですか!? さっきの物音といい、乱暴な事まで!?」 「………俺は、ただ、」 否定………しなかった!! しかもこんな事言われて、淀み口で言い訳なんかを言おうとしている…。
/180ページ

最初のコメントを投稿しよう!

196人が本棚に入れています
本棚に追加