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「ハァ…っハァ…」
ずっと止まらずに
走ったので息が切れていた。
私はひとつ深呼吸をして
病院の中に入っていく。
「…あ。」
すると、ソファーに
見覚えのある奴が座っていた。
そいつは私に気がつくと
近寄ってきた。
「マヨ…。」
「よぉ、早かったな。」
「うん…。
総悟、どうしたアルか?」
「…とりあえず、ついて来い。」
そう言われ私は
マヨの後について行った。
病室まで行く途中に、
今までの思い出が
走馬灯のように流れた。
―――――
…とある公園で出会った。
あいつとの出会い。
いつもの公園でケンカした。
いつの間にかあの公園は、
私たちにとって
“いつもの場所”
になっていた。
告白して、
思いを伝えあって、
初めてのキスをして、
…別れを告げられたのも…
あの公園だった。
考えてみると、
私たちの思い出には
いつもあの公園があるなぁ…。
もう一度あの頃に戻りたい。
あなたと笑い合いたいよ、
総悟…。
「…ここだ。」
総悟との思い出を懐かしんで
いると、いつの間にか
病室についていた。
「行け。…総悟に、
よろしく伝えろよ。」
マヨに背中を押された。
「うん…。」
私はゆっくり
病室のドアを開いた。
この先に、総悟がいる…。
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