「笑えてますか?」

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  …ここは、どこだ? 目の前に広がる白い世界。 薬品のにおいが鼻をかすめる。 …病院? 「総悟!目ェ覚めたか?」 突然土方さんが 身を乗り出してくる。 …あぁ、そっか。 俺、倒れて…。 「過労…だってよ。 ったく、 たいして働いてもねぇくせに ぶっ倒れてんじゃねえよ。」 …聞き慣れたはずの 土方さんの声に、 少し違和感があった。 いつもより少し低くて、 しゃがれたような声。 …まるでさっきまで、 泣いていたような。 「土方さん、わかってまさァ。 俺、もうすぐ死ぬんでしょ?」 「!!…んなわけねェだろ。 ただの過労だって 言ってんだろうが。」 「俺が一番わかりますよ。 …俺の体なんだから。」 俺の言葉に、土方さんは 今にも泣きそうになっていた。 「馬鹿やろうが…!! わかってたんなら、なんで もっと早く言わねェんだ!?」 「だって…言ったら俺、 即入院でしょ。」 「当たり前だろうが!! こんなに痩せちまって…!」 土方さんは、 やせ細った俺の腕を掴む。 少し痛いくらいの力加減が、 嬉しくもあり… 悲しくもあった。 本当は、お前バカか…って。 お前が死ぬかよって、 笑い飛ばして欲しかった。 「…ごめんなさい。」 どうせ離れることになるのなら…できるだけ長く。 少しでも長く。 …神楽と一緒に、 いたかったんでさァ。  
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