ミツ

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僕は彼の恋人なのだと思ってるけど、彼にとっては僕なんてただの遊び相手に過ぎないのかもしれない。 「巡ーっ、ごめん、一時限目寝てた!ノート写させて」 彼とは同じ大学で、同じ講義をとっていた。だから会う時間も多いし、もっぱら彼にばかり頼っていた。 「なんだよ、またか?最近寝てばっかじゃん。夜寝てねえの?」 しょうがないな、そう言って、巡は僕の頭をぐしゃぐしゃと撫でながら、青いキャンパスノートを僕に渡してくれた。 僕だって本当のところは、気に入っていた先生の講義だったし、真面目に受けたかったのは山々だけど、やはり、睡魔には勝てないものだ。 「あははー、色々、思うとこあって、ね」 そう、ぎこちなく彼に向かってウインクをした。 彼は、できてねえよ、と笑い転げて腹を抱えた。 「あ、あのさ、お昼、一緒に食べようよ、今日僕学食だから」 彼はいつも大学の学食で昼食を済ませていた。 僕は、近くのパン屋さんがお気に入りなのもあっていつもではなかったけど、今日は時間がなくてパン屋に寄れなかったから、学食で彼と一緒に、そう思ってた。
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