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ふと、目の前の扉が開き疲れたような声が中からした。
声の主はわざわざ扉を限界まで開き、土方の来訪にわざとらしく驚く。
「おや、今日はもう来ないと思っていたが。まぁいい、入りたまえ」
厭味も交え、土方を中に招く。
舌打ちしたい衝動に駆られたが、右拳に収まった小太刀がそれを許さなかった。
『まぁ落ち着け、トシ』
あの人の言葉は、今もこんなに自分を縛る。
「……失礼」
前を歩くあの大きな背中がないのは、こんなにも心細いことなのか。
柄でもないことを頭の奥にちらつかせ、太刀を握りしめた。
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