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「……土方君?」 さすがに怪しいと榎本が顔を覗こうとする。 が、それを止める人物がいた。 「榎本さん」 目元の下がった優しげな男は、そう言って榎本の肩を引きさりげなく土方から離す。 「大鳥」 「トシさんの意見は、後で私が聞いておきますよ。黙っているんだ、無理に聞き出すことはない」 「……大鳥、君は土方君に甘くないか?」 この男 大鳥圭介は、旧幕府軍の中では珍しく土方を慕っていた。 当然榎本はそのことを知っている。 しかし聞かれた相手はケロリとして、 「私はもともと甘いんだよ」 などと言っている。 .
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