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「トシさん、トシさんどこだい?」
電球の切れた薄暗い廊下を走りながら、男はある人物を探していた。
探し人の名前は土方十四郎。
かつて、真撰組という組織で副長という役職についていた男だ。
彼は今、江戸を離れ蝦夷地にある五稜郭という所にいた。
「ああ、君!トシさんを知らないかい?」
男は途中であった部下にそう聞くと、どうやら森の中で酒を仰いでいるらしい、ということが分かった。
礼もそこそこにまだ慣れない新しい隊服で、急ぎ足で土方を探す男。
「まったくあの人は……。ザキさんの苦労が今初めて分かったよ」
苦笑混じりに笑いつつ、森に向かった。
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