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『逃げねぇ』 土方の言葉に、一同は目を見張った。 昨日鎮座していた土方に榎本が嫌味がちに聞いた質問の答え。 それはあくまでも武士道に背かないという、彼らからしたら古臭い考え方から来た言葉であった。 『侍であるいじょう、敵に背を向け憐れに逃走……なんてこたァしねぇ。 この場でどれだけ反対されても、関係ねぇ。 俺は、俺たち真撰組は、最後まで闘う!』 「トシさん、今日の話聞きましたよ」 森の中で小太刀を眺めていた土方は、後ろから来る足音に振り返った。 そこには土方の予想通り、口うるさい部下と笑みを浮かべるあの男の姿が。 悪戯っ子のような目で隣に座る中島を細くした目で睨み付け、正面にしゃがみこむ大鳥には軽く一礼した。 .
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