38人が本棚に入れています
本棚に追加
『逃げねぇ』
土方の言葉に、一同は目を見張った。
昨日鎮座していた土方に榎本が嫌味がちに聞いた質問の答え。
それはあくまでも武士道に背かないという、彼らからしたら古臭い考え方から来た言葉であった。
『侍であるいじょう、敵に背を向け憐れに逃走……なんてこたァしねぇ。
この場でどれだけ反対されても、関係ねぇ。
俺は、俺たち真撰組は、最後まで闘う!』
「トシさん、今日の話聞きましたよ」
森の中で小太刀を眺めていた土方は、後ろから来る足音に振り返った。
そこには土方の予想通り、口うるさい部下と笑みを浮かべるあの男の姿が。
悪戯っ子のような目で隣に座る中島を細くした目で睨み付け、正面にしゃがみこむ大鳥には軽く一礼した。
.
最初のコメントを投稿しよう!