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「いやァ、しかしあの後の榎本さんの怒りを静めるのは大変だったよ」 「……いつも悪ぃな。アンタにゃ世話かけてばっかで」 「もう慣れましたよ。ねっ、中島君?」 「はい」 からかうようなその会話が何故だか妙に懐かしくて、皮肉めいた笑みを浮かべた。 戦前だとは思えないほどの穏やかな会話。 土方は、この時間が何よりも好きだった。 それはかつて緊張感のない仲間たちに囲まれていたからか、ただたんに肝が据わっているだけなのか。 もう何万回と考えたこの問いに、答えはないことを自分は知っている。 .
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