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二人は暫くの間無言で酒を飲んだ。 時折ゴクリ、と喉の動く音がする。 沈黙の中、突然土方が立ち上がり腰に差していた太刀を抜いた。 「トシさん?」 「総悟」 「え?」 「総悟の刀だ、これは」 沖田隊長の……? 沖田総悟。 真撰組一番隊隊長として土方、近藤の支えとなった男の名だ。 男というより青年に近い歳だったが、誰よりも腕がたち、誰よりも悪戯好きだった。 彼はまだ江戸にいる頃彼の姉・みつばと同じ病にかかり、近藤が死んだ約一ヶ月後に後を追うように息を引き取ったのだ。 そんな彼の刀を何故土方が持っているのだろうか。 沖田は近藤の次に土方を慕い、そして嫌悪していた。 嫌悪の理由を、中島は知らない。 が、あの毎日繰り返されていた死闘とも呼べる彼らの戦いぶりから、少なくとも半端じゃないほど嫌悪していただろうことは分かる。 .
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